いろはにほへと

本の紹介を、備忘録を兼ねて

外国文学

ふしぎをのせたアリエル号

『ふしぎをのせたアリエル号』リチャード・ケネディ(中川千尋 訳) ぬいぐるみの頭に針を突き刺した経験はあるだろうか? 私はある。 この本の主人公エイミイは船長の人形キャプテンとずっと一緒だった。 エイミイが生れた日にキャプテンも生まれた。 エイミ…

オオカミ族の少年

『オオカミ族の少年』ミシェル・ヘイヴァー(さくまゆみこ 訳) クロニクル千古の闇シリーズ 遊びに来た友人が嬉しそうに「これ読んだことある!」と言ってくれたので。 そのうち書くつもりだったし、ちょうど良い機会になった。 物語の舞台は紀元前4000年の森…

思い出のマーニー

『思い出のマーニー』ジェーン・G・ロビンソン(高見浩 訳) スタジオジブリがマーニーを映画化したとき、流れていたCMの主題歌があまりにも美しくて、これは観に行こうと決めた。(And I cry…のところでは何度聞いても泣き出したくなってしまう) 私は結末のわ…

悲しみよこんにちは

『悲しみよこんにちは』サガン(河野万里子 訳) ものうさと甘さが胸から離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しくも美しい名前をつけるのを、わたしはためらう。 物語の最初の一文だ。出だしから「あ、この物語は普通じゃないな」と感じる。普通じゃ…

禁じられた約束

『禁じられた約束』ロバート・ウェストール(野沢佳織 訳) 私は児童文学が好きだ。なぜか、と聞かれると答えに詰まってしまうけれど、とにかく好きだ。小学生あるいは中学生だった時分から読み続けている作品も多い。そのひとつがこれだ。ロバート・ウェスト…

わたしを離さないで

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ (土屋政雄 訳) 昨年だったか、作者のカズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞したので、知っている人も多いかと思う。数年前、日本でドラマ化もされていたらしい。(映画版はみたけれど、こちらは観ていない) 命に…