禁じられた約束
『禁じられた約束』ロバート・ウェストール(野沢佳織 訳)
私は児童文学が好きだ。なぜか、と聞かれると答えに詰まってしまうけれど、とにかく好きだ。小学生あるいは中学生だった時分から読み続けている作品も多い。そのひとつがこれだ。ロバート・ウェストールの作品は何作か読み、一番好きな作品は別にあるけれど手元にあるのはこの本だけだ。
ロバート・ウェストールの作品は、戦争だとか死だとかを扱ったものが多い。でも、それはテーマじゃないと私は思う。もちろん、意味があって取り入れているのだろうけど…。なんというか、暗いけれど重くない。戦時中だって日常はあるし、死は日常の一部である。だからこれはあくまでも日常の話だ。と、そんな風に説明するしかない。
「いっしょに笑っちゃいけないのかい、相手が死ぬとわかっていたら?それじゃ、笑うことなんてできなくなっちまうよ。あたしたちはみんな、いつか必ず死ぬんだからね」
恋人を亡くした主人公に祖母がかけた言葉だ。祖母の登場シーンは少ないが、存在感は大きく、いっとう好きなキャラクターだ。
みんないつか必ず死ぬなんてことは、主人公だってわかっているだろう。死期がせまったひとと笑うのと、いつか死ぬけれどそのいつかはまだ当分やってきそうにないひとと笑うのは、ぜんぜん違う。でも、この祖母にかかれば同じなのだ。そして、亀の甲より、というやつだろうか。祖母の言葉は説得力にあふれていて、なぜか納得させられてしまう。
本の紹介と言いつつ、いつも核心に言及するのは気が引けて、遠回しでよくわからない文章になってしまう。備忘録だしまあいいか。こんなブログからでも興味を持ってくれるひとがいたら嬉しいな。