いろはにほへと

本の紹介を、備忘録を兼ねて

明日戦争がはじまる

『明日戦争がはじまる』宮尾節子

まいにち

満員電車に乗って

人を人とも

思わなくなった

 

インターネットの

掲示板のカキコミで

心を心とも

思わなくなった

 

虐待死や

自殺のひんぱつに

命を命と

思わなくなった

 

じゅんび

ばっちりだ

 

戦争を戦争と

思わなくなるために

いよいよ

明日戦争がはじまる

 

今日の記事は宮尾節子さんの詩からはじめてみた。

ほんとうは終戦記念日の昨日投稿したかったのだけれど、忙しくて今日に先延ばしにしてしまった。

 

ところで、茹でガエルの法則を知っているだろうか。

熱いお湯に投げ込まれたカエルは必死に脱出するが、冷たい水からゆるやかに温度を上げられたカエルは、熱湯になっても気付かずにゆでられて死んでしまう、というものだ。

この詩は、私たちは茹でガエルだと言っている。

少しずつ、少しずつ鈍くなって、自分が死の淵にいることにも気付かない愚か者だと言っている。

 

私はこの詩を初めて読んだとき、目を覚まさなければ、と思った。

私は、画面の向こうの顔の見えない相手を心ある人間として扱っているか。

雑踏で一瞬すれ違うだけのどの人にも人生がある事を忘れていないか。

毎日飛び込んでくる殺人や戦争のニュースを遠いどこかの出来事と思っていないか。

 

そして次に、この詩を広めなければ、と考えた。

宮尾さんは、この詩を反戦の詩ではないと言う。だから私も反戦詩としては扱わない。

そのうえで、この詩はそれでも多くの人に読まれるべきだと思ったのだ。

なぜだろう。私は、これは皆の問題だと思う。

目を覚ませ、目を覚ませと声をあげなければ。

皆が目を覚ましていなければ。

私たちは知らぬ間にゆでられて死んでしまう。

 

 

 

※茹でガエルの法則に科学的根拠はないと言われています