いろはにほへと

本の紹介を、備忘録を兼ねて

おちくぼ姫

『おちくぼ姫』 (田辺聖子)

突然だけれど、日本のお姫様たちはかわいい。その意思の弱さはどうなんだ、と思うことも多いけれど、とにかくかわいい。今日はそんなかわいい日本の姫君の一人、おちくぼ姫の話をしようと思う。

 

昔話の好きな人なら知っているかもしれない。おちくぼ姫は、わかりやすく説明すれば日本版シンデレラだ。継母や義姉にいじめられ、実の父親にも顧みられず、惨めな暮らしをしているところに立派な貴公子が現れ姫をさらっていく。最後は貴公子と結婚し、子どもも生まれてめでたしめでたし、だ。

 

物語『おちくぼ姫』の魅力は、姫の周りの個性的な登場人物たちにある。その最たるは姫の女房の阿漕だろう。継母にいじめられる姫にいつも寄り添い、ピンチのときは機転を利かせ姫を救う優秀な女房である。

 

思うに、日本の昔話では、女性の役割というのは二分されている。一人の女性がか弱さと強さを併せ持つのではなく、儚く可憐な側面と、強くしなやかな側面を別の女性が演じている。この分業によって、女性の2つの側面を描くと同時に女登場人物たちに個性をもたせることができる。もちろん、この時代の女性たちに求められた理想像も念頭に置かねばならないが。

 

さて、今回は『おちくぼ姫』の紹介をしたけれど、日本にはまだまだ素敵なお姫様の物語がたくさんある。鉢かつぎ姫なんかは小さい頃から大好きな作品なので、そのうち紹介したい。

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