いろはにほへと

本の紹介を、備忘録を兼ねて

水に浮かぶ女

今日は趣向を変えて絵の話をしようと思う。

私は絵を見るのが好きだ。

残念ながら美術的な知識なんてものはなく、ただ美しいと思うだけなのだけれど。

誰の絵が好きか、と聞かれると困ってしまうが、ミュシャは好きだ。あとは印象派とかラファエル前派の絵はよく見るかもしれない。


さて、今日のタイトルの「水に浮かぶ女」は、何かの絵のタイトルというわけではない。ただ私が水に浮かぶ女の絵が好きだからつけてみた。

これでは訳がわからないだろうから、詳しく説明する。


私が好きな水に浮かぶ女の絵は、二つある。

ウォーターハウスの「シャロットの姫」とミレーの「オフィーリア」だ。どちらも検索すればすぐに出てくるので一度見てみてほしい。


シャロットの姫はかの有名なアーサー王伝説の騎士ランスロットに恋をした姫、オフィーリアはシェイクスピアの戯曲「ハムレット」の主要な女性キャラクターで、どちらも悲劇の女だ。

シャロットは愛ゆえに自ら呪いにかかり、オフィーリアは正気を失い、それぞれ水に浮いている。

シャロットは船に乗っているから、浮いているのとは少し違うかもしれないが。


絵にされた場面だけを切り取ればどちらも似たような状況下にあるが、そこに至るまでの経緯は全く違う。(これも興味があれば調べてみてほしい)

その差が最もよく現れているのは二人の表情だ。

シャロットの顔は悲しげだ。何かに苦しんでいるように眉をひそめ、こちらをじっと見つめている。シャロット姫を題材にした他の作品も見てもらえばすぐにわかるが、彼女の瞳は大方強い意志を秘め燃え盛っている。

一方オフィーリアは、虚空を見つめ口を半開きにしてたゆたっている。もはやそこにはなんの意思もない。彼女はその命とともに悲しみを手放した。


私はこの二作に優劣をつけることができない。どちらが好きかと聞かれたらどちらも同じくらい好きだと答えるほかない。

というわけで、皆さんにもぜひとも「シャロットの姫」と「オフィーリア」を見てもらいたい。

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